000000 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

イタリアいなかまち暮らし

イタリアいなかまち暮らし

脱線して世界の料理の話

脱線して世界の料理の話

誰が言い出したのか世界3大料理はフランス料理、中国料理、トルコ料理と言われている。日本では日本料理を支持する人も多い。

最初に言っておくがトルコ料理はいまのとこ食べたことがないので言及しないことにする。

しかし日本料理というのはちょっと考えてしまう。そうもスバラシイものとは思えない。たしかにデリケートなダシ味は世界の料理人に絶賛されているとは思うが、結局はどれもダシベースに醤油か味噌味で、その多くが煮物で、ワンパターン。あっさり味が続くとうんざりしてくる私には日本食だけの生活というのはちょっと考えられない。私だけではなく、だからこそ日本ではいろんな国の料理が食べられるようになったのではなかろうか。
純和食というのは低カロリーな点ではカロリー過剰の現代においてはとてもヘルシーな食だ。しかし食材も海のものは豊富なものの、肉もなく、意外と野菜も種類が貧相だったらしい(江戸時代とかの話だが)。

その点中国料理は肉も食べる上に野菜も実に種類が多い。そもそも日本では中華というと肉をもりもり食べるイメージがあるが、実際の肉の消費量は日本のほうがだいぶ多い。中国の農村では肉など少ししか食べられないからだ。そして野菜のほうをもりもり食べるのだ。
さて調理法も煮る、焼く、炒める、蒸す、揚げるなどと変化があり、味付けは日本のダシにあたる鶏がらスープと、醤油、いろいろな種類の味噌、中国納豆、オイスターソースがある。さらに味わいを深くしているのは五香粉や四川花椒などのスパイスだろう。日本の「中華」を食べなれている方々には本場の中華は漢方薬くさいといわれているようだが。
まあ全般にバラエティがあるのは国土が極端に広くいろいろな地方や民族の食べ物があるからで、イタリアと同じくそれぞれ地方ではそれなりに単調な食生活をしているに違いないだろうが。

じつは私が中国料理と同じくらい、あるいはそれ以上にすばらしいと思うのがタイ料理である。タイ料理というのは中国の影響を強く受けているため、中国料理の基本の調理法(煮る、揚げる、蒸す、炒める)と調味料(醤油、オイスターソース等)を持つ。辛くない中国風の炒め物がその代表だ。麺類や豆腐やきくらげなど中国から来た食材も豊富だ。さらに、多様なスパイス類がインドから来ていて、それに東南アジア特産のココナッツミルクが加わってタイカレーとなり、もともとタイ人が好む「酸」(マナオというライムの一種)が加わってトムヤムスープとなる。
つまりタイ料理とは中国とインドと東南アジアの味が程よく調和していて、実に変化に富む料理である。酸味と甘味に唐辛子の辛味とスパイス、さらにハーブが加わり、味と香りが何層にも合わさった複雑な味なのだ。
複雑な味というのは飽きやすいといわれるが私はタイに2ヶ月ほどいても食事に飽きたことは一度もなかった。というより旅行をすること自体が飽きてしまった最後のほうには、観光もせず今日は何を食べようか、間食はどこに行こうかということばかり考えていた。

飽きないといえばマレーシアもそうだった。ここは民族までがインド系と中国系、マレー系に分かれていてそれぞれが独自の料理を持っている。外食はインド料理、中国料理両方とも地方料理で分かれている。毎日違う料理を食べられて、私たちエスニック好きコンビにとってはそれはもう食い倒れパラダイスだ。
ただしインド料理と中国料理があまりに際立ちすぎて、マレー料理というとあまり特徴がなくてぱっとした印象がない。また、中国人とインド人はマレー料理も含めお互いの店で食べているのに、イスラム教であるマレー人は中国料理店にもインド料理店にも行かないというのが気になった。イスラム教では豚肉が食べられないだけでなく、ハラルというイスラム教の教えにのっとって捌かれた肉しか食べられないからだそうだ。

また、ヘルシーといえば韓国料理である。焼肉が有名だが本当は野菜を中心に食べる。海苔も昆布も食べるし、日本で食べられているほとんどの植物だけでなく、どんぐりや芋のツルまで食べる!医食同源の精神も守られているし、ひそかに次の長寿国は韓国ではないか?次の健康食ブームは韓国料理ではないか?と思っているのだが、どうだろう。(日本ではとっくに韓国健康食ブームか?)

さてやっとフランス料理である。実はフランス料理というのは日本の結婚式ぐらいでしか食べる機会がなくてよく知らないので詳しく語れない。相方によるとイタリア料理もフランス料理も似たようなもんで優越はないという。ただしイタリア料理は味付けが少なくて素材の味を生かすのに対して、フランス料理は様々なソースの味が決めてである。
そしてもともとフランスでは早くから外食産業が発達していたのだが、イタリアでは最近まで外食の習慣がなくずっと母の郷土料理を食べてきたということもある。フランスのレストランというのはイタリアのよりプロフェッショナル性が高いということである。そのためかフランス料理というのはイタリア料理と比べて洗練されていて、料理法が統制されているのだ。日本でも公式な洋食がフランス料理であるのはそのためだろう。ワイン作りもイタリアに比べてプロフェッショナルだそうだ。

さてイタリアの話に戻る。そもそもイタリアでは世界3大○○などというものは聞いたことがなく、まあ3大料理は番付好きの日本人の発明なのだろう。
そしてもちろんイタリアではイタリア料理が世界一である。ワインもイタリアが世界一である。

事実はどうだろうか?たしかに素材の味を生かすイタリア料理は、イタリアの太陽のもと育った食材あってこそである。食材の多様性で語るならば、欧米の中でも最も優れたもののひとつだろう。しかしそれが料理として、調理法として優れているかといえばまた別の話である。そして何度も言うようだが味付けははっきり言ってワンパターンである。


© Rakuten Group, Inc.
X